東京高等裁判所 昭和50年(ネ)1385号 判決 1976年12月23日
控訴人
上条金治
右訴訟代理人
野田純生
被控訴人
加茂長治郎
右訴訟代理人
新津章臣
外一名
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
原判決主文第三項中仮執行免脱の宣言部分を取り消し、右取消しにかかる控訴人の仮執行免脱の宣言の申立てを却下する。
事実《省略》
理由
当裁判所は……<省略>……原判決と同じ理由で、被控訴人の本訴請求は理由がありこれを正当として認容すべきものと判断するので、原判決の理由をここに引用する。
したがつて、被控訴人の本訴請求を認容した原判決は相当であつて、これが取消しを求める本件控訴は理由がない。なお、原判決は仮執行免脱の宣言を付しているが、本訴請求は金員の支払いを求めるもので強制執行を受けることによつて回復することができない損害が生ずるおそれのある事情が認められないし、最終の事実審である当審においても被控訴人の本訴請求を認容する以上、右の仮執行免脱の宣言を維持する必要はないものと考えるので、原判決主文に掲げられた仮執行免脱の宣言を取り消すのが相当である。この点につき右の取消しは控訴人にとつて不利益な結果となるけれども、仮執行免脱の宣言の裁判は職権でもなしうる(民事訴訟法一九六条三項)附随的な裁判であるから、いわゆる不利益変更禁止(同法三八五条)の原則の適用はない。
よつて、本件控訴を棄却し、控訴費用は敗訴の当事者である控訴人に負担させ、なお原判決中主文に掲げられた仮執行免脱の宣言を職権で取り消し、これが取消しにかかる控訴人の申立てを却下することとして、主文のように判決する。
(菅野啓蔵 舘忠彦 安井章)